「名前がすぐに出てこない」
「さっき考えていたことを忘れる」
「探し物が増えた気がする」
——そんな経験はありませんか?
年齢のせいと思われがちな「物忘れ」ですが、
実は多くの場合、記憶力そのものよりも
脳の中が散らかっている状態 が原因です。
この状態では、覚えていないのではなく、
「思い出しにくい」だけ、というケースが少なくありません。
脳が散らかる3つの原因
物忘れが増えたように感じるとき、
多くの場合、脳の「容量」が足りないのではなく、
情報が整理されないまま詰め込まれている状態になっています。
ここでは、脳が散らかりやすくなる代表的な3つの原因を見ていきます。
① マルチタスク(同時にいくつも考える)
一つのことに集中しているつもりでも、
- 作業をしながら別の予定を考える
- 話を聞きながら次にやることを考える
- 頭の中で「次・その次」を同時に回す
こうした状態が続くと、
脳は常に切り替えを強いられます。
脳は本来、
一度に一つのことを処理する方が得意です。
同時進行が増えるほど、
情報は浅くなり、後から取り出しにくくなります。
結果として、
「覚えていない」ではなく
「思い出す手がかりが見つからない」
状態になりやすくなります。
② スマホ・通知による割り込み
スマホはとても便利ですが、
脳にとっては「頻繁な割り込み装置」でもあります。
- 通知音
- 画面の点灯
- つい開いてしまうSNS
これらがあると、
脳はそのたびに注意を切り替えます。
問題なのは、
元の思考に完全には戻らないことです。
一見すると戻れているようでも、
集中の深さは少しずつ削られていきます。
その結果、
- さっき何を考えていたか思い出せない
- 話の途中で言葉が出てこない
といった感覚が起きやすくなります。
③ 考えごとの抱え込み(頭の中に溜めたまま)
「あとで考えよう」
「忘れないようにしておこう」
そう思って頭の中に入れた考えごとが、
実は脳を一番疲れさせます。
- 未完了の用事
- 心配ごと
- 気になっている出来事
これらを頭の中に抱えたままだと、
脳は常にバックグラウンドで処理を続けます。
すると、
今必要な情報を取り出す力が落ち、
物忘れが増えたように感じる原因になります。
覚える力が落ちたのではなく、
考えごとが多すぎて整理が追いついていない
という状態です。
ポイントまとめ
- 脳は同時処理が苦手
- 割り込みが多いほど、記憶は浅くなる
- 考えごとは「頭の外」に出した方が楽
次の章では、
これらを踏まえたうえで
今日からできる「脳の整理術」を紹介します。
今日からできる脳の整理術(5分)
脳の整理は、
特別なトレーニングや道具がなくても始められます。
大切なのは
「覚えよう」とすることではなく、散らかさないこと。
ここでは、1日5分でできる実践的な整理術を3つ紹介します。
① 頭の中を書き出す(2分)
まず最初にやることは、とてもシンプルです。
- 今日やること
- 気になっていること
- 忘れそうなこと
これらを、
紙やスマホのメモにそのまま書き出します。
ポイントは、
- きれいに書こうとしない
- 順番も気にしない
- 思いついたまま出す
頭の中に溜めていた情報を
「外に出す」だけで、
脳の負担は一気に軽くなります。
② 今やることを1つだけ決める(1分)
書き出した中から、
「今からやることはこれだけ」
というものを、1つだけ選びます。
ここで重要なのは、複数選ばないこと。
脳は、
「これをやればいい」
と分かった瞬間に落ち着きます。
他の用事は、いったん忘れて大丈夫です。
メモに残っているので、脳が覚えておく必要はありません。
③ タイマーをかけて区切る(2分)
最後に、
- 5分
- もしくは10分
タイマーをセットします。
この時間は、
- 完璧を目指さない
- 終わらせようとしない
ただ 手を動かすだけ でOKです。
「区切り」があることで、
脳は安心して集中できます。
短時間でも、
- 集中しやすくなる
- 頭がスッと軽くなる
という感覚が出てきます。
なぜこの方法が効くのか
この整理術は、
- 情報を外に出す
- 優先順位を単純化する
- 時間を限定する
という、
脳が本来得意とする形に合わせています。
記憶力を鍛える前に、
使いやすい状態に整える。
それだけで、
物忘れの感覚は大きく変わります。
ひとこと
「最近、物忘れが増えた気がする」
そう感じたときほど、覚えようと頑張るよりも
一度、脳を休ませて整理することが大切です。
まずは今日、5分だけ試してみてください。
私自身が実践している脳の整理習慣(体験談)
私は長年、学習塾で子どもたちの指導をしてきましたが、
同時に、自分自身も「どうすれば頭が整理された状態を保てるか」を
ずっと試行錯誤してきました。
その中で強く感じているのは、
集中力や記憶力は、年齢よりも「使い方」で大きく変わる
ということです。
長時間やればいい、は思い込みだった
若い頃は、
「長くやればやるほど身につく」
そんな考え方をしていた時期もありました。
しかし実際には、
- 長時間やったわりに内容が残らない
- 途中から頭がぼんやりする
- 終わったあとに強い疲労感だけが残る
こうしたことが増えていきました。
そこで意識的に取り入れたのが、
短時間で区切る学習・作業スタイルです。
短時間集中が「脳を片付ける感覚」を作る
今は、
- 短時間集中
- いったん区切る
- 頭を空にする
この繰り返しを大切にしています。
すると不思議なことに、
- 次に何をするかが明確になる
- 考えが絡まらなくなる
- 「あれ何だっけ?」が減る
そんな感覚が出てきました。
これは、
脳を酷使しているのではなく、
こまめに整理している状態に近いのだと思います。
塾での指導でも感じたこと
塾で指導していても、
- 短い時間で集中できる生徒
- こまめに休憩を入れる生徒
こうした子の方が、
結果的に理解が深く、忘れにくい傾向がありました。
逆に、
- ずっと机に向かっている
- 休憩を取らない
生徒ほど、
頭の中が整理されないまま
「やった気」だけが残ることも多かったです。
脳は「鍛える」より「整える」
物忘れが気になり始めると、
どうしても
「記憶力を鍛えなければ」
と思いがちです。
でも実際には、
鍛える前にやるべきことがあります。
それは、
脳を散らかさずに使うこと。
- 短時間で区切る
- 休憩を入れる
- 考えを溜め込まない
この積み重ねが、
脳の整理習慣につながっていきます。
最後に
物忘れは、
能力の低下ではなく
使い方のサインであることも多いです。
まずは今日、
5分だけでも構いません。
脳を整える時間を、
意識的に作ってみてください。
まとめ|物忘れ対策は「脳の使い方」を変えることから
物忘れが気になり始めると、
「記憶力が落ちたのではないか」
と不安になる方も多いと思います。
ですが、この記事でお伝えしてきたように、
多くの場合は能力の問題ではなく、
脳が散らかった状態で使われていることが原因です。
今日のポイントを振り返ると
- マルチタスクや通知は、脳を疲れさせやすい
- 考えごとを頭の中に抱え込むほど、整理力は落ちる
- 短時間・休憩・短時間のリズムが、脳を整える
- 覚える前に、まず「使いやすい状態」を作る
特別なトレーニングや道具は必要ありません。
大切なのは「頑張り方」を変えること
長時間続けるよりも、
短く区切って集中し、きちんと休む。
この繰り返しが、
脳にとって自然で、無理のない整理習慣になります。
私自身も、
そして長年見てきた生徒たちも、
このやり方で頭の使い方が大きく変わってきました。
最後に
物忘れは、
「もうダメだ」というサインではなく、
使い方を見直すタイミングかもしれません。
まずは今日、
5分の整理から始めてみてください。
小さな習慣が、
脳を軽く、毎日を楽にしてくれます。


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